Another Eye 〜トピック考察・解説〜

気になったトピックについて独自の視点で考察・解説するブログです。 ハンターハンターの考察をはじめました。

By

佐村河内守氏の騒動にみる障害者問題とビジネスの潮流


やや今さら感はありますが、佐村河内守氏の騒動について取り上げます。

と言っても、事件の内容や詐欺の検証みたいな話は他に譲るとして、今回の騒動から何を学んだか、学べるかについて説明できたらと思っています。

 

2つの聖域(芸術と障害者)

「聖域」と言う言葉はいろいろな場面で使われる言葉ですが、最近ではTPP交渉で政府が「聖域なき関税撤廃を前提とした交渉は受け入れない」というような使われ方をしています。

ここで言う「聖域」の使われ方は、ある品目の関税については触れない(変更や議論をしない)という感じですね。

 

今回の佐村河内氏の騒動で、露呈した2つの聖域が「芸術」「障害者」でしょう。

 

本当の作曲家でゴーストライターだった新垣隆さんが明かすまで、佐村河内氏の音楽活動について信ぴょう性を与えていたのがドキュメンタリー番組「NHKスペシャル 魂の旋律 音を失った作曲家」ですね。

まずは「本人が作曲していなかった件」についてNHKは以下のように釈明しています。

譜面を書くのは神聖な行為であるという佐村河内氏の強硬な反対で、そのシーンの撮影を断念。

その代わりに曲の全体構成の設計図を見せられたので、『これだけ具体的なイメージがあるなら本人が作曲しているに違いない』と感じてしまった

つまり、作曲という芸術活動がいわば聖域で、番組担当者が検証すらできなかったことになります。

 

念のため断っておきますが、芸術活動が聖域であることについては、それ自体が悪いという話では全然ありません。

芸術作品は、個々の芸術家がそれぞれの方法で創出するものなので、完全に見せられるものでもないですし、特に素人がみても分からないって事は起こり得る話なので。

ただ、今回の件で「譜面を書く行為」すら見せられないというのは、聖域が広すぎですね。

 

もう一つの聖域が「障害者」です。

この「実際に聴力が全くないわけではなかった件」についても、NHKは「医師の診断書」「障害者手帳」で判断したとしています。

確かに今の常識から考えると、この2つがあれば信用する事が当たり前で疑ってはいけない、いわゆる「聖域」となってしまいますね。

 

「ドアのチャイムの音に普通に反応した」とか「呼びかけに普通に返答した」みたいなエピソードは騒動前から結構あったようですが、疑問すら抱いてはいけない雰囲気があったのでしょう。

 

これは、現在の障害者の判定基準が性善説に基づいていることも一因となっていますね。

つまり「障害者が騙したりするわけがない」という考え方が基本となっているため、そこに「聖域」が作られるという構図です。

本来は、障害者も健常者と同様にずるい所もあって当然なんですが。。。

 

 

この件を含めて改めて断っておきますが、「聖域」である事自体が悪いと言いたいわけではありません。

ただ、時に「真実を追求するチャンスを逃してしまう、真実を歪めてしまう」といった点については、留意しておいた方が良さそうですね。

 

ビジネスへの利用

また、今回の騒動を別の側面から見ると、現在のビジネスの潮流みたいなものも透けて見えてきますね。

 

よくビジネスにおいて大事なことの一つとして、取り扱っているサービスや商品の「差別化」が挙げられますが、かなり商品やサービスが高品質化してきているのでなかなか差別化するのが難しいといった現状もあります。

そこで考えだされたのが、製作過程やストーリーなどで付加価値をつける方法です。

 

実は、この手法自体は前々から使われていて、例えば人気番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」で登場した音楽バンド「ポケットビスケッツ」。

番組内でバンドの成立過程や音楽の製作過程、またCDが売れなかった場合どうなってしまうのか(解散やメンバー脱退等)がしきりに取り上げられました。

そうする事によって、単純にCDを発売して広告を出すよりも、顧客の感情移入を巻き起こしてかなりの売上を達成することができたんですね。

当時は、意図的だったかどうか分かりませんが、最近ではビジネススタイルとして確立しつつあるので、より意図的に狙う人が増えてきています。

 

今回の佐村河内氏の件では、「ヒロシマの被曝二世」や「耳が聴こえない」をキーワードにストーリーを構成していました。

また、2014年3月7日に行われた記者会見で佐村河内氏は、義手のヴァイオリニストのみっくんに義手を外して出演するように指示したのも、そういう演出で観客の感情移入を巻き起こさせようとして意図的に行ったと話していましたね。

結局、虚偽のストーリーだったり(自身は障害者ではないのに)障害者を利用したりしたため今回のような騒動になりましたが、逆に言うと騒動になる前の佐村河内氏の異例とも言えるCDの売上からみて、ストーリーで感情移入させる方法が有効であることも示唆したとも言えます。

 

今後は。。。

まず障害者問題について考えられるのは、一部メディアなどで評論家が言っているように障害者の判定基準に脳波測定が使われるようになる事が考えられますね。

ただ、現段階では脳波から分かる事と言えば、例えば聴覚だと「音を聞くと何らかの反応がある」という位で完全に聞こえないかどうかは分かりますが、佐村河内氏が主張しているように「音が歪んで聞こえる(言葉として判別できない)」かどうかについては分からないのが現状です。

なので、脳波測定で反応があったからといって一概に「障害ではない」とは言えないことになります。

(逆に言えば、佐村河内氏の主張自体も厳密に言えば「真偽の程は分からない」となりますね。)

 

一方で、ストーリーで感情移入を起こすビジネス手法の今後ついては、良い意味で発展、悪い意味で言えば露骨になっていくでしょうね。

今回の騒動でも、こういうビジネス手法があるという見方をする人はあまりいないですし、「騙された」と思った人でも次に全然違う形でストーリーが提示されると、否応なしに感情が動かされるので。(実際に、本物の方が多いでしょうから。)

ただ、「ストーリーで感情移入を起こすビジネス手法」があることだけは、頭の片隅に入れておいて下さい。

感情移入すること自体は全然悪いわけではないのですが、冷静に判断できる機会はできるだけ多くもっておいた方がいいので。

こちらの記事も併せてどうぞ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です